SSBEのロゴ

INSPIRADOのロゴ

English

BLOG

この先の不安を軽減する方法

昨今、コロナ禍やロシア・ウクライナ間の交戦、経済危機に食糧危機とテレビやネットから不安な気持ちを煽るような情報が溢れかえっています。このように混沌とした不確実な世界に直面している中、ポジティブ心理学の創始者であるマーティン・セリグマン氏が「冷静さを保つのを助ける簡単なエクササイズ」を紹介していますので、翻訳したものを記載します。こちらの記事は2020年の新型コロナウイルス感染症拡大が始まった時に書かれたものなので、不安を煽る題材が「新型コロナウイルス感染症」になっていますが、お子さんの不登校や将来の就職先等、この先が分からずに不安になっている時に使えるものですので、ぜひ、色んな状況でご活用頂きたいと思います。以下、翻訳です。

***

コロナウイルスに関する状況が日々変わってきており、このような不確実性は不安や恐怖をもたらします。ポジティブ心理学の創始者であり、ペンシルベニア大学ポジティブ心理学センター長のマーティン・セリグマン氏は「人間のマインドは自動的に最悪のケースに偏ってしまいます。それも、しばしば不正確なものにです。破局的思考は進化における適応したマインドのフレームワークでありますが、通常は非現実的にネガティブなものです。」と述べています。自分のマインドを再びフォーカスし直すために、セリグマン氏は「Put It in Perspective (大局的に見る)」という簡単なエクササイズを紹介しています。それは私たちのマインドが最初に行う最悪のシナリオを想起し、その後、最善のシナリオへと移り、最も現実的なシナリオに落ち着くように進めます。この考えは思考を非合理的なものから合理的なものへと再び方向づけることです。

ステップ1 自問自答する「起こりうる最悪のシナリオは何か?」

これは皆さんの年齢や健康状態によって変わるでしょう。セリグマン氏は77歳でペンシルベニア州Montgomery郡に住んでおり、コロナの感染拡大を予防して最近、閉鎖されたと自身のシナリオを例として挙げます。彼の最も重々しい考えは自動的に極端な方へと向かいます。「私は確実に感染します。なぜなら私の娘はここの学校に行っているからです。一旦、感染すると、厳しいケースとなり、70代で死ぬでしょう。」

ステップ2 次に最善のシナリオを考える

このステップの段階では、セリグマン氏は「私は感染しませんし、家族もしないでしょう。終息して、大丈夫でしょう。」と考えました。

ステップ3 次に最も起こりうる可能性が高いことを考慮する

セリグマン氏は最も現実味のある結果として、「私は多分、最終的には感染するかもしれません。しかし多くの大人と同じように、ほとんど無症状もしくはおだやかなものでしょう。たとえリスクが高い年齢といっても、非常に健康的ですので、病気で1~2週間は不調でも、後に回復するでしょう」としました。

ステップ4 最も現実味のあるシナリオに向かう計画を作成する

これは最も起こり得ないことについてエネルギーを浪費することとは異なります。厳しい状況となる不測の事態へと向き合うためのものです。皆さんの計画は個別の状況によります。例えば、自分が風邪を引いた時は、子どものケアを確保する必要があるか?家にいないといけないならば、十分な食料や薬はあるか?仕事へはどのような意味があるのか?自分が高リスク集団であれば、誰か自分のことをケアしてくれる人はいるか?などです。セリグマン氏はこのエクササイズを多くの状況や異なる集団で試してきました。

<出典>

Medical Press, March 16, 2020: A simple exercise to help stay calm in the face of coronavirus uncertainty

***

いかがでしょうか?ここでセリグマン氏が紹介しているエクササイズは認知行動療法では「シナリオ法」と呼び、偏った認知の歪みを修正するために活用される技法の一つです。今回のコロナ禍もそうですが、「この状態が続いたら、この先どうなるんだろう?」という不確実性への不安に対して、効果的なエクササイズになります。特に日本人は国際比較でも「Uncertainty avoidance(不確実なものからの回避)」が世界で最も高い国のうちの1つと昔から言われています。地震や津波などの災害が多い地域に住んでいるため、そういう国民性になったとその研究報告では推測されていましたが、確かに、「前例がないからやらない」という判断をよくしがちになる風潮があります。「不確実性からくる不安」への対処法として、このシナリオ法は役に立ちますので、是非、試してみてください。