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教育関連

不登校の子どもと親が「同じサイドに立つ」ことの大切さ

不登校のお子さんに頭を悩まされる多くの親御さんと関わってきましたが、不登校のお子さんをどうにかしようとするよりも、その子が生活する家庭環境(家庭内の人間関係)に目を向けて改善していくことを選ばれたご家庭には、いつも何かしらのプラスの変化が生まれ始めます。その変化と出合う度に、「やっぱり、なんだかんだで親子関係が一番、大切な部分だなあ」という考えに至ってしまいます。ここでは、子どもが不登校の状態であるとき、親御さんがどのような関わりをしていくことで、親子間の信頼関係を作っていくかについて見ていきたいと思います。

親御さんがお子さんと同じサイドに立つ

不登校の状態から別室登校を始めたり、復学したり、家庭教師を始めたり、何かしら前に進み出すお子さんは親御さんと雑談したり、「普通の会話」ができている子が多いようです。よくお子さんが不登校やひきこもりの状態になった時、「この子の何が悪いのか?」ということばかりに目がいきがちですが、実はそれ以上に重要なことは、「私はこの子が自分に悩みを打ち明けるほどの信頼関係を築けているか?」という点になってきます。人間である以上、誰しもがつまずくことってありますよね。これは不登校やひきこもりに限った話ではなく、大人である我々も職場でつまずいたり、悩んだりしている時に上司や同僚など、一人でも相談できる人がいるのといないのでは心の持ちようが全然違います。

よく壁にぶつかっても心が折れない人は、とても我慢強く、精神力が強い人のような印象をもちがちですが、ポジティブ心理学の研究で明らかになったことは、心が折れない人は窮地に陥った時に「助けを求めることができる人」だったのです。しんどくなった時、一人で頑張るのではなく、仲間の手を握ることができる人が、実は折れない心の持ち主だったというわけです。これは不登校やひきこもりの文脈でも非常に重要なポイントです。なぜなら、お子さんがつまずいた時に、その子から見て「手を伸ばして握りたい」と思われる存在に、私達大人がなっていなければ、その子は一人で潰れていくしか他に道はないからです。

お子さんが不登校やひきこもり状態の時、「この子を助けたい」「何とかしてあげたい」という想いのもと、進路のことや今後のこと等、私達の会話は終始、学校や進路の話ばかりになりがちです。そんな姿を逆の立場から見てみると、ひょっとしたら、一番、突かれたくないことばかりを突いてくる「敵」に映ってしまっているかもしれません。自分がしんどい時、痛い目に遭いそうなところに自ら歩む人はまずいません。ですから、まずは不登校やひきこもりのお子さんと「同じサイドに立つこと」から始めていくことが、信頼関係を築いていく上で大切になってきます。「同じサイド」というのは、彼らから見て「自分の『味方』だ」と感じる存在、つまり自分のことを理解してくれる存在を指しています。「彼らから見て」と主語が「彼ら」であることがポイントです。

「気持ち」を推測する

では、私達はどのようにしたら、お子さんが「自分のことを理解してくれている」と感じる存在になれるのでしょうか? ここは単なる方法論をお伝えしてもあまり意味がないところかもしれませんが、1つポイントを挙げるとしたら、「気持ち」にフォーカスすることが挙げられます。目の前にいるお子さんと向き合う時、「この子は今、どんな気持ちなんだろう?」と自問自答してみてください。「辛い」「苦しい」「寂しい」「焦り」「罪悪感」・・・。「何を考えているのか?」「将来のことをどう思っているのか?」という「考え」を知ろうとする前に、この「声になっていない声(気持ち)」に気づくことが「彼らから見た味方」になるために非常に重要な役割を果たします。

「そりゃ、私も同じ立場だったら不安になるわ」

「周りから遅れているって焦るよね、そりゃ」

「そりゃ、気持ちが沈むと将来のこととか考えたくないよね」

まずは、お子さんがどんな気持ちでいるのかを推測されてみてください。今、目に見える様子(例えば、ずっとベッドでスマホしている姿 等)ではなく、どんな気持ちなのかを考えてみてください。こちらがどんな気持ちで何を考えているのかも理解していないのに、外から見えるものだけで評価してくる上司、嫌ですよね?

以前、「子どもが〇〇に合格したが、もう引きこもりに戻らないと本人に約束してもらいたい」と仰られる親御さんからのご連絡がありました。これまでの内容を考慮すると、このご発言が的外れなことは容易にご理解頂けるのではないかと思います。心の折れにくい人はピンチの時に周りの手を握れる人です。お子さんと「契約」を交わすのではなく、彼らが窮地に立たされた時に「手を差し伸べたい」と思える信頼関係を親御さんとの間でしっかり築けているかどうかの方が遥かに大事なことは言うまでもありません。そのためにも、まずはお子さんの「様子」ではなく、彼らの「気持ち」にフォーカスされ、同じ景色から今の状況を見ていくことをまず意識されてみることをお勧めします。

今回は親御さんと不登校のお子さんとの間での信頼関係の大切さとその関係構築のために意識したいことについて見てきました。勿論、ご家庭によって状況は異なりますので、一概に言えない部分もあるかと思いますが、少しでもご参考になっていればと願っています。