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不登校の生徒対応でラポールを形成する際に意識したいこと

「不登校の生徒に対してどのように関わった方がよいか」というご相談をよくスクールカウンセラーの先生にお伺いします。勿論、小学生や中学生、高校生等の年齢によって、また、生徒一人ひとりの特長によって関わり方は変わってくるため、十人十色の関わり方があるかと思いますが、ここでは、ポジティブサイコロジーの視点から、スクールカウンセラーが不登校の生徒さんと関わり始める上で大切にしたいポイントについてお話できればと思います。

ラポールを形成しながら「原因」よりも「強み」を探る

スクールカウンセラーの先生は多くの場合、一つの学校に常駐しているというよりもいくつかの学区内の学校を回っている状況かと思います。毎日、生徒と接している担任の先生とは異なり、生徒にとっては、多くとも週に1回の1時間を共に過ごすという存在で、いつも会わない存在であるがために、相談事を話してもらうためにはまず、信頼関係を築かなければなりません。

そのため、スクールカウンセラーの先生はラポール形成をするために、お子さんの趣味のお話を伺ったり、何気ない会話をする時間が多くなることがよくあります。確かに、ラポール形成をすることは非常に重要なのですが、一方、信頼関係を構築することばかりに意識がいき、多くとも週に1回の1時間しかない中、趣味のお話をして終わるという面接が多くなってしまうという状況もよくあります。スクールカウンセリングの限られた時間の中で、不登校の生徒さんとラポールを形成しなければいけない、でも、本題にも触れたい、ジレンマがありますよね。

そのような状況の中、僕がお勧めしたいのが、本人の「強み」を見つけやすいお話を伺い、ラポールを形成しながら、その後の課題解決に役立つ「強み」を見つけるという方法です。人間の「強み」を研究するポジティブサイコロジーの分野では、人は以下の5つの瞬間に、「強み」の元となる才能が発揮されているという報告があります。

1)惹かれるもの

マグネットのように、自然と惹かれていく活動をしている最中

2)夢中になっている時

ある活動に時間の感覚を忘れて、夢中になっている最中

3)速く習得することができた時

比較的、他の人よりも速く習得できたこと

4)「よっしゃ!」と思った瞬間

ゲームでもリアルでも、「よっしゃ!」と心の中でガッツポーズをした時

5)満足感を感じる時

その活動の最中や活動が終った時に、またやりたいなあと次の機会を望むもの

不登校の生徒さんと話す際には、これらのことを伺っていくと、ゲームのお話になることが多いのですが、ここでラポール形成のために、単にゲームのお話(相手が興味をもっているお話)を聴くのではなく、スクールカウンセラーの先生方にお勧めしたいのが、①HOW(どのようにそれをやっているのか?)②WHY(何が自分を駆り立てるのか?)を丁寧に聴いていくことで、その子の「強み」を探っていくことです。同じゲームでも、一人ひとりの子達によって戦い方やこだわりは異なります。

「どうやったの?」「コツは何?」「多くの人はその場合、〇〇をすると思うんだけど、△△をやろうとしたのはなんで?」「皆が皆、そのゲーム好きなわけではないと思うけど、どういうところが魅力なの?」等、丁寧にそのプロセスと動機を伺っていくことで、その子独自の思考と行動のパターンが明確になっていきます。小学生だと少し難しいのですが、中学生や高校生くらいになると、しっかり話してくれる子も多く、一概に「ゲームが趣味」といっても、その戦い方や情報の集め方は千差万別でいつもこちらの方が驚かされます。そして、誰しもが自分の好きなことを誰かが好奇心をもって聞いてくれるのは嬉しいもので、このプロセスを踏む中で不登校の生徒さんとの間で自然とラポールは形成されていきます。その一方、スクールカウンセラーの先生方は本題に入る切り口となり、また、解決の糸口にもなりうる彼らの「強み」を見つけることがしやすくなります。

「今、お話を伺っている中で、〇〇君の強みを見つけたんだけど、共有してもいい?自分は、〇〇君に『△△△』という強みがあると思ったよ。だって、ゲームの最中、XXXの場面で◇◇◇しようと思って、実際にそれをやって勝ってきたんだよね。他にもこの場面で・・・で、共通して『△△△』しているよね、どう思う?」

「『△△△』という強みって、めちゃくちゃ将来、XXXという形でも活きると思うよ。学校の中でも活かせる機会ってあるんじゃないかなって思うんだけど、因みに、今って、活かせている?」

このような対話をしていく中で、趣味の話だけで終わるのではなく、今、抱えている本題に自然と入りやすくなり、不登校の生徒さんの視点から見ても、目の前にいるこのスクールカウンセラーの先生は、自分を「問題」としてみているのではなく、自分の良いところを理解してくれている「味方」だと感じやすくなることが多いようです。

今回、スクールカウンセラーの先生方の限られた時間の中で、信頼関係を築きながら、本題に入りやすくするために、上記の5つの話題に絞り、そのHOW(プロセス)とWHY(動機)を丁寧に聴いてみることで生徒の「強み」を見つけていくということをご共有させて頂きました。勿論、いつもうまくいくものであるわけではありませんが、ぜひ、お試し頂けたらと思います。また、具体的に今関わっているケースでご相談がある場合は、ぜひ、オンライン面談でお聞かせください。