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「現状を打破したい」と思った時に

特に変化がない毎日の繰り返しを送っていたり、仕事がマンネリ化してきたり、年齢や置かれた状況・環境に関わらず、「現状を打破したい」と思うときが誰にだってあると思います。その「現状」は一人ひとり異なるかもしれませんが、自分自身がずっといた状況や環境を抜け出して、よい方向に思い切って変化するときの心理状態は共通している部分があると思います。ここでは、「現状を打破したい」と思う方に役立ちそうな切り口をご紹介したいと思います。

現状を打破するために、まずは「人間」という複雑な生き物を「個々の資質」と「環境」という2つの側面からみていきたいと思います。「個々人の資質」については少しこみいったお話をしますので、最初に「環境」からみていきたいと思います。

これは当たり前のお話なのですが、今の状態や状況から、よい方向に思い切って変化したい時、環境を変えることが最もわかりやすく、かつ効果的なことです。ここでいう「環境」とは、「住んでいる場所」や「働いている会社」「通っている学校」等の物理的な環境もそうですし、「関わっている人」等の人間関係、着ている服装や髪形等の自分の身の回りにある身近なものも含めて考えてみてください。皆さんもご経験があるのではないかと思いますが、職場ではAという性格の自分が出てくるけど、家庭ではBという性格の自分が出てきたり、〇〇さんと話している時はCという性格の自分が出てくるけど、△△さんと話している時はDという性格が出てくる等、僕たちは自分が思っている以上に、「環境」に大きく影響を与えられています。そのため、現状を打破したい時、「環境を変えること」で良い方向に進み出すことがよくあります。ずっと引きこもっていたけれど、海外の大学に進学したことで、現状を打破したという青年もいますし、前職では生気なく働いていたけれど、転職後に今、生き生きと働いているという若手事務員の方もいらっしゃいます。また、部署が変わったり、上司が変わったということで水を得た魚のように働き出す人もいらっしゃれば、離婚をきっかけに現状を打破したという方もいらっしゃいます。「環境」が変えることで、現状を打破した方が皆さんの身近にもいらっしゃるのではないでしょうか?「環境だけ変えても、根本的な解決にならない」というご意見もありますが、本当に現状を打破したいと思った時、まずは、以下の質問をご自身に投げかけてみてはいかがでしょうか?

① 自分はどんな「環境」を求めているんだろう?

② その「環境」だと今とどんな違いが生まれるだろう?

③ (その「環境」にいる自分をニヤニヤ想像しながら)最初の1歩目は何だったんだろう?

④ 今できるベイビーステップ(小さな一歩)は何だろう?

上記の質問をリラックスできる状況で妄想していると、現状を打破するヒントが下りてくるかもしれませんので、ぜひ試してみてください。

ここまで「環境」の変化によって、現状を打破するということを見てきましたが、次は「個々人の性質」について見ていきたいと思います。先程、「環境だけ変えても、根本的な解決にならない」というご意見があったように、環境を変えても、また似たような状況でつまずいてしまう時ってありますよね。人間関係がうまくいかずに転校したけれど、転校先でも、同じような問題にぶつかってしまう等、人間は「個々の性質×環境」の掛け算であるため、環境だけ変えても現状を打破できない時も実際に出てきます。そこで、「個々の性質」の中で何を変化させる必要があるのかというお話になるのですが、ここでは従来の心理学的なアプローチとポジティブ心理学のアプローチの2つの切り口からみていきたいと思います。

従来の心理学のアプローチでは、その人の思考・行動・感情のパターンを生み出す「信念(Belief System)」を明確にして、それを書き換えるための考え方や行動を実験してみようというやり方です。意識・無意識に関わらず、人は誰でも自分の中に真実だと思い込んでいる「経典」があり、潜在意識の中で、その「経典」に従って、生きています。例えば、その「経典」の中に「私は価値がない」という言葉が刻み込まれていたら、どんなに人のために尽くしたとしても、自分の無価値観を拭い去ることはできません。「現状を打破したい」と意識上では本当に思っていたとしても、「私は何をしても無理だ」「環境を変えることは面倒臭い」「面倒臭いことはやらない方がいい」等の言葉が自分の中の「経典」に入っていると、現状を打破することは難しいかもしれません。

そこで、従来の心理学では、まずは自分がどんな「経典」を持っているのかを明確にしていきます。もしかすると、過去の嫌な出来事がその言葉を「経典」の中に刻み込ませたのかもしれません。この経典の言葉を明確にして、それを持っていることを認め、癒し、そして手放し、自分が望む自分になるための、新しい言葉を見つけて、日々の生活の中でその言葉に何度も触れたり、それを証明するための行動を実験したりしながら、「個々人の性質」に変化をもたらし、現状を打破していくという道もあると思います。このアプローチは非常に効果的ですが、手放すのに時間がかかる「言葉」もあれば、「その言葉が経典に刻み込まれていたんだ」と気づいただけで、手放せる「言葉」もあるため、ご自身のペースに合わせて、以下の質問をしてみていってほしいなと思います。また、自分だけだと、どうしてもその言葉に向き合うことができない、潰れてしまいそう、という場合は、精神科医や心理士、カウンセラーの方と一緒に行っていくことが適切だと思いますので、ご検討ください。

現状を打破できないのは、どんな「言葉」が自分の中で邪魔しているんだろう?

 その「言葉」をずっと持っておくことでどんなメリットがあるんだろう?

 その「言葉」をもう手放してもいい?(自分に許可をもらう)

 手放す代わりに、どんな「言葉」を持っておきたい?

 その「言葉」を持って生きると、今とどんな違いが生まれそう?

 その「言葉」を「経典」の中に染み込ませるために、どんなことが日々できそう?

こちらの質問が役に立つと思われる方は、ぜひ安心できる環境で試してみてください。最後に、ポジティブ心理学の視点から「個々の性質」を変えることで現状を打破することについて見ていきたいと思います。

ポジティブ心理学の考え方は、欠けている部分を修復していくという発想よりも、既にあるものを育てて、「プラスとマイナスの割合を変えていく」という考えに基づいています。各分野でハイパフォーマンスを生み出す人たちを研究していく中で、自分の欠点を直すよりも、生来もった個性を活かしてきた人がハイパフォーマンスを発揮していたことが明らかになったことで、「より良く生きていくためには、別人になる必要はない」というフィロソフィーを大事にしている心理学になります。そのため、「現状を変えたい」と思っている人に対して、「今、うまくいっていること」や本人の「強み」を聞き出し、「これまでの進歩や成長」を一緒に振り返ったり、過去に現状を打破した時の経験を伺い、その時、どんなことを考えていたのか、何をしたのか、何が動機だったのか、何が役立ったのかを分析していく中で、今回に応用できそうなことは何かを考えていきます。簡単に言うと、自分の「強み」は何で、その強みをどう活かしたら現状を打破できるか、本人の個性に合ったやり方で、次の一歩目を考えていくという内容です。現状を打破したいと思った時、どうしても自分のマイナス部分に目がいってしまうのが人間ですよね。そのマイナス部分を見ながら、現状を打破しようと考えても良いアイデアが生まれないのは自然なことです。

ちょっと実験してみてほしいのですが、自分の駄目なところや直したい欠点を10個挙げて、その後に将来どうなりたいかを考えてみてください。おそらく、ここで言わんとすることを体感されるかと思います。

ポジティブ心理学のアプローチでは、ちょっと逆説的ですが、「個々の性質」を変えるのではなく、より明確にしてプラス面を出しやすくすることで、本人の中に変化を生み出していくという内容になっています。仕事がマンネリ化して、モチベーションが低かった社員の方が自分の「強み」は「人を笑わかせることだ」と気づき、一日一回は、同僚を笑顔にさせようと決めて行動を始めたことで、水を得た魚のように生き生きと再び働き始めたという方もいれば、長年、引きこもっていたけれど、自分の強みは「論理的に物事を繋ぎ合わせて、修理すること」だと気づき、その強みが活かせそうなプログラミングを勉強し始めたことで現状を打破した青年もいらっしゃいました。このようにまずは自分がどんな特長をもっているかを明確にすることで、現状を打破する切り口が見つかるかもしれませんので、ぜひ、以下の質問もご自身に投げかけてみていただきたいなと思います。

自分がいないところで、自分のことをよく知っている友人に「あの人(自分のこと)の強みは何だと思う?」と聞いていたら、あなたの友人は何と言うと思いますか?

 その「強み」をもった人だと、今の自分の状況でどんなことをやってそうですか?

 過去に現状を打破した出来事を思い返してみてください。その時、どのようなことが頭の中に呟いていましたか?

 その時、何をやったんですか?

 その時、何が自分を駆り立てたんですか?

今、振り返ると何が役立ったと思いますか?

今の状況で、それをどう応用できそうですか?

いかがでしょうか?こちらの質問を問いかけることで、より自分らしい打開策が生まれてくるのかと思いますので、ぜひ時間をかけて振り返ってみてください。

今回、現状を打破するために、①環境を変えてみること、②自分の中の「信念(真実として思い込んでいること)」を手放し、新しい信念を染み込ませていくこと、そして、③自分の強みを明確にして、過去の打破した時に役立ったことを応用してみること、についてみてきました。ぜひ、上記の質問が、皆さんの現状を打破するために、少しでも役に立てばと願っています。もし一人ではなかなか難しいと思わる方がいらっしゃいましたら、一度、解決志向アプローチ講座にお越し頂ければと思っています。受講生達と共に、現状を打破するための解決策を一緒にデザインしていきましょう。