SSBEのロゴ

INSPIRADOのロゴ

English

教育関連

「不登校」を解決すべき「問題」にすると

2020年の新型コロナウイルス感染拡大により、不登校生数がさらに増加傾向にあり、教育委員会も不登校対策に重点をさらに置いてきている傾向があります。「不登校」という問題の解決策は何か?親御さんの視点や担任の先生の視点、また学校側や教育委員会の視点で各々異なるのではないかと思いますが、ここでは「不登校の解決策」について、個人的に思うことについてお話してみたいと思います。あくまでも個人的に思うことで、「正解」ではありませんので、役に立ちそうなことはご参考にして頂き、役に立ちそうにないことはスルーして頂ければと思います。

まず、「不登校の解決策」と考えた時、当たり前ですが、その背景にある「不登校は問題である」という観念から考えていきたいと思います。「不登校」という現象をそもそも「問題」として扱うことについて、皆さんはどのように思われますか?僕は個人的に、「不登校は『問題』になる時もあるし、『問題』にならない時もあり、それに関わる人たちの選択に因って決まる」と思っています。例えば、学校内でのイジメ等が背景にあり、不登校になっている場合は、「不登校」そのものと言うよりも、その背景にあるイジメを「問題」として取り扱い、解決策を具体的に考えていく必要があると思います。一方、発達特性が強い子やグレーの子達にとって、画一的な授業やクラスが合わずに「不登校」になっている場合、周囲の我々大人が「学校に行かないこと」を「大変だ、大変だ」と騒ぎ立てて、なんとか適応させようとすると「不登校」は「問題」になりますが、「この子にあった環境やペースは何だろう」と模索し始めると「不登校」は解決すべき「問題」ではなくなります。つまり、我々大人が「不登校」という現象をどう捉えるかによって、「現実」が変わるという点を認識することが非常に重要だと個人的には思っています。

これまで、不登校の子達やそのご家庭と関わってきた中、「不登校」を「問題」にして複雑にし、ご家庭内の人間関係までも悪化してしまっているご家庭にもお会いしてきました。一方、「不登校」でも伸び伸びと自分の興味関心を追いかけているお子さんの姿を、時に心配になりながらも、冷静に笑顔で見守っているご家庭にもお会いしてきました。そのコントラストを見るにつれ、「不登校の解決策」は、正直、子ども云々ではなく、子どもを取り巻く周囲の大人の捉え方に因るところが大きいかもという結論に辿り着きつつある自分がいるのが正直な気持ちです。そのため、直接的なアドバイスにはならないかもしれませんが、「そもそも、『問題』を作らない」という観点から、以下の質問をご自身に問いかけてみることは役立つことがあるかもしれません。

1)今、自分はどんな思い込みを持っているんだろう?

2)他にどんな見方(考え方)ができるだろう?

3)この子は、何を求めているんだろう?

4)この子は、何を望んでいるんだろう?

上の質問を読んで、「自分が子どもの不登校のことで悩んでいるのは『思い込み』だというのですか!?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。もし、ご不快になっていたら申し訳ございません。一方、今の自分自身の考えが真実かどうかに関わらず、自分は目の前の現象に対して、どの「思考」を選択しているかを客観的に見ることで、新しい気づきや発見が生まれることも確かです。「もし、自分の考えが思い込みだとしたら、」という枕詞を付けて、ちょっと考えてみてほしいなと思います。

今回は「不登校の解決策」という点に関して、そもそもの大前提を冷静に検討してみるというお話をさせて頂きました。何か役立つことが少しでもあればと願っています。