先生が不登校の生徒に提案する際、「〇〇〇」を一つの羅針盤に
新型コロナウイルス感染拡大に伴う休校や分散登校、オンライン授業、あれよあれよと期末テストで夏休み。学校の担任の先生方もコロナ禍が始まった当初は大変ご苦労をされたのではないかと思います。担任の先生は休む暇もない中、日々、ご健闘されていたのではないかと憶測しています。新型コロナ以前も、ゴールデンウィークや夏休み等の長期休暇後から不登校が増加する傾向があり、当会にも毎年、特に5月、6月、9月、10月が最もお問合せが多くなる時期です。これから学校が再開されると不登校になる生徒さんも増えるのではないかと思いますが、担任の先生はご家庭にお電話をされることや直接、電話越しや三者面談等で生徒さん本人にお話される機会があると思いますが、不登校になった生徒さんに何を話せばよいのでしょうか?
不登校になった生徒さんも一人一人、状況が異なるため、一概に「何を言えばいいのか」という「模範解答」がないため、果たして自分の対応が合っていたのかとなんだかモヤモヤした気持ちになる方もいらっしゃるかもしれません。「学校に来てほしい」というお気持ちもある一方、「強制的に学校に連れ戻すのも何か違う気がする」・・・その狭間で葛藤する先生もいらっしゃるかもしれません。もしそのようにお悩みの担任の先生がいらっしゃいましたら、生徒の「気持ち」を一つの羅針盤にしてほしいと思います。
よくあるケースなのですが、不登校の生徒さんと面談やお電話でお話をする際、生徒さんから何も話してこない時、沈黙になるのも変な気持ちになるため、こちらから色々と提案やアドバイスをしてしまうことがあります。勿論、別の人からの意見や助言は、これまでになかった自分の考えを広げたりする上で有効な時もありますが、その提案に対して、不登校の生徒さんがどんな気持ちなのかも確認してほしいと思います。
「じゃあ、来週から保健室に来て、少し勉強して帰ることで登校練習をしよう」「夏休みの課題、終わっていないところから宿題でやってみよう」と先生が提案した時、生徒さんは「はい」と返事をする。しかし、実際はやっていない・・。あるあるのお話です。もしかしたら、その不登校の生徒さんは「やらなきゃいけない」と頭ではわかっているので、「はい」と返事したけれど、実際に身体と気持ちがついてこない状態なのかもしれません。もしくは、やる気はないけれど、とりあえず「はい」と言っておけば、この場を早く終わらせることができるから「はい」と返事したのかもしれません。
担任の先生から何かを提案する際、表面上の「はい」という返事だけで会話が成立したとは思わずに、自分の提案に対して「この子はどんな気持ちなのかな?」という点に興味を持っていただけたらと思います。
例えば、「じゃあ、来週からやってみようか?」(担任の先生)
「はい・・・・」(不登校の生徒さん)
「因みに、この提案を聞いて、どんな気持ちになった?」(担任の先生)
「いや~やんなきゃいけないとは思っているんですけど、やっぱり面倒臭いなって」(不登校の生徒さん)
「というのは?」(担任の先生)
「だって、ブラブラブラ・・・」(不登校の生徒さん)
このように本人の本音の部分で会話していくと、お互いの共通認識にズレがなくなっていき、不登校の生徒さんも、担任の先生は自分の「気持ち」を尊重してくれていると感じるようになっていきます。不登校の生徒さん一人一人、その性格や置かれている環境が異なるため、唯一の「正解」の対応はありませんし、「模範解答」も幻想に過ぎません。不登校の生徒さんとお話をするとき、ぜひ共通認識をもちながら、踏み出しやすい一歩を探していく、試していく、その「航海」の指針となる生徒さんの「気持ち」を一つのご参考にして頂けたらと思っています。