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進級や進路について「どうするの?」と聞く代わりに

年末年始が終わり、新年度に向けて、進級や進路の話が挙がってきやすい時期には、お子さんが不登校でまだ中学生や高校生であれば、「進級や進路に関してお話がしたい」と三者面談等の依頼が先生からくるのではないかと思います。また、お子さんが高校を卒業している状況であれば、専門学校や大学入試等の締切があるため、焦る気持ちが出てくる時期でもあるかと思います。このような時期、不登校やひきこもりの状態で自分の部屋にいる時間が長いとき、なかなか、お子さんと直接、会話が出来ないことも多いかと思います。もしくは、お話ができたとしても、「今後どうするつもりなの?」と聞いても黙ったままで返事がないという状況もよくあるかと思います。

このような状況で1つ大切にしておきたいことはお子さん本人だけの問題として見るのではなく、お子さんを取り巻く環境も含めて「全体」として捉えようとする意識です。今のお子さんの状況は、お子さんだけのお話ではなく、学校とお子さんの関係性や親子間の関係性、夫婦間の関係性等、色んな要素が絡み合っている状況であるため、「本人にどうするの?」と聞いても答えがないのは「考えていない」のではなく、複雑すぎて「わからない」という状況なのかもしれません。これまで進級や進路決定の局面で苦戦しているお子さんとお話してきた中で考えていない子なんて誰一人としていませんでした。お子さんから答えがないから、「これまで何も考えていない」という前提でお話されると親子間の関係性が悪化してしまうため、余計に状況がややこしくなってしまいます。学校の先生や世間様のプレッシャーに焦って発せられる、「どうするの?」という質問は、親御さんの意図していない形で、お子さんを追い詰める質問になっているかもしれません。もし「追い詰められている」と相手が捉えてしまうと、本来は味方であるはずの親御さんを「敵」とみなし、自分の安全を確保するために、益々、引っ込まれるかもしれません。

ですから、今、進級や進路の件でお話をされようとするなら、「どうするの?」と伺うよりも、「ここまでどんなこと考えてきたの?」と伺ってほしいと思います。答えは返ってこないかもしれませんが、少なくとも親御さんが自分が悩みながら考えてきたプロセスを尊重してくれていることは伝わります。時間がないことは本人も重々、認識しています。そこに追い打ちをかけるような声がけをしても関係性が悪化してしまうだけです。「どうするの?」「通信制もあるのよ」「学校変わってもいいのよ」と「結果」の話だけをするのではなく、「ここまでどんなことを考えてきたのか?」という「プロセス」の方に目を向けてほしいなと思います。そして、もし彼らが考えてきたことを話してきた場合、「そこまで考えてきたことを担任の先生に伝えて意見をもらわない?」と学校の先生に繋いだり、「そこまで考えてきたなら、進路相談とかしてくれる人に一度、意見をもらわない?」と支援団体に繋げたり、「第三者と繋げる」という方向に進め、ご家庭だけで抱え込まずに繋がりをつくり、皆で考えていけたらと思います。特に1月~2月は進級や進路のことで時間が差し迫っていて、焦ってしまうのも自然なことです。ご家庭内だけで孤立せずに、一緒に考えていきましょう。