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誰にでも「強み」はある

ポジティブ心理学の主な研究テーマとして「強み」がありますが、ここでは「強み」とは一体何のことか、について改めてお話していきたいと思います。よく「強み」と聞くと、「サッカーが上手」とか「ピアノが得意」等の特技を指すことが一般的ですが、これらはあくまでも知識やスキルであり、ポジティブ心理学が定義する「強み」とは異なります。ポジティブ心理学の分野でも「強み」は様々な言葉で定義されていますが、ここでは2種類の「強み」について説明したいと思います。

一つ目は「人格の一部」としての「徳性の強み(Character strengths)」(これを「VIA モデル」と呼びます)、二つ目は「自然と湧き起る思考・行動・感情のパターンを磨いたもの」である「磨かれた才能(Developed Talents)」(「GALLUPモデル」と呼びます)です。この2種類の「強み」は、年齢や立場に関わらず、人間であれば誰しもがもっている「強み」であり、この「強み」にフォーカスしていくことが自分の人生を生きる上で、非常に重要なことなのです。以下、それぞれの「強み」の概要です。

VIA Character Strengths(VIA 徳性の強み)

まず、一つ目は、「VIA(ヴィア)モデル」という、「強み」を「人格の一部」としてみるモデルです。このモデルでは強みを「徳性の強み(Character Strengths)」と呼びます。ポジティブ心理学の提唱者であるマーティン・セリグマン(ペンシルベニア大学)とクリストファー・ピーターソン(ミシガン大学)は研究チームをつくり、2000年代前半に3年間かけて、古代ギリシア哲学から各宗教の聖典、小説の名作に至るまで、時代や文化を越え、古今東西、人間の美徳と称賛されている「徳性の強み」を収集し、分類していきました。その結果、人間であれば誰しも持つ24種の普遍的な「徳性の強み」を特定したのです。(VIAの24種の「強み」:創造性、好奇心、知的柔軟性、向学心、大局観、勇敢さ、忍耐力、誠実さ、熱意、愛情、社会的知性、親切心、リーダーシップ、チームワーク、公平さ、寛容さ、慎み深さ、思慮深さ、自律心、審美眼、感謝、希望、スピリチュアリティ、ユーモア)この「徳性の強み」は元々「Value in Action」と呼ばれ、通称「VIA(ヴィア)」と呼ばれますが、この24種の「徳性の強み」が基準となり、2000年代以降、心理学では「強み」の研究が瞬く間に増えていきました。このVIAの「強み」はどちらかと言うと、性格に近いものになりますが、性格は外向的、内向的等、「良い・悪い」という「価値」を伴いませんが、VIAの「徳性の強み」は「良いものである」と評価されているため、「価値ある性格」と言い換えてられます。人間であれば、大なり小なり、これら24種の「強み」を全てもっており、それらの濃淡や組み合わせが「その人らしさ」の人格を定義します。ポジティブ心理学界のインディアナ・ジョーンズと呼ばれているロバート・ビスワス = ディーナーは、ケニアのマサイ族やイヌイット、インドのスラム街等でも現地調査を行い、それを証明しました。まさに普遍的な人間の「強み」なのです。

GALLUP CliftonStrengths(クリフトンストレングス)

VIAの「徳性の強み」が、「強み」を「人格の一部」として定義するのに対して、2つ目の大きな流れは、「強み」を「磨かれた才能」として考えるギャラップ・モデルです。これは、教育心理学者であったドナルド・クリフトン率いる世論調査・コンサルティング会社の米国ギャラップ社が分類したクリフトンストレングス(通称、ストレングスファインダー)が最も有名です。古今東西の文献研究をもとに人格的な「強み」を抽出したVIAとは異なり、ドナルド・クリフトンは各業界におけるハイパフォーマーと呼ばれる一流の人物、約200万人にインタビューを実施し、その中で、彼らが自然とできる「才能」を見出そうと試みました。彼らの言う「才能」とは「自然と繰り返し現れる思考、感情および行動であり、生産的に活用できるもの」を指しますが、インタビューによって十人十色、様々な「才能」が抽出されました。それらの「才能」は分析の結果、34種の集まりに分類することができました。ギャラップ社はこの「才能の集まり」を「資質(Themes)」と呼び、この資質に知識やスキルを身につけ、訓練して磨き上げたものを「強み」と定義しました。因みにこの「思考、感情および行動のパターン」とは具体的には、自然とそう考えたり、行ったり、感じたりしてしまう「脳の癖」を意味します。脳には多くの神経回路があり、その活動パターンは人それぞれ異なります。(なお脳科学者の間ではこれを、一人ひとり異なる指紋に例えて「脳紋(のうもん)」と呼んでいるそうです)ある特定の神経回路は生まれつき、もしくは幼少期から使っているため、シナプス結合が強化されて「高速道路」のようになっています。例えば、FPSというシューティングゲームに熱中するお子さんは、「もしここに敵が現れたらこうしよう」というふうに、ある状況においてすぐに複数の選択肢を見つける神経回路が非常に発達しているのです。その「高速道路」を使って物事を考え、実行すると、その回路に障害物がない分、瞬時に脳内での情報が行き来します。結果、自然とうまくできるというわけです。私たちはこのように、生まれつき、もしくは幼少期から普段何気なく特定の行動を繰り返し、独自の「思考・行動・感情のパターン」(脳の癖)をもつようになります。脳がある以上、誰しもが、自然とする「強みの原石」をもっているのです。ギャラップ社が定義する「強み」とは、まさにこの脳の「高速道路」を生産的に活用した「パフォーマンス」を指しています。

「強み」の重要性

上述のように、これら2つのモデルは各々特徴があり、VIAは自分のより性格的な部分やアイデンティティを明確にする上で役立ち、クリフトンストレングスは具体的な行動に移す時に役立ちます。私自身も研究や臨床、教育活動を行っていく中、この「強み」の活用がもつパワーと可能性にとても強く魅了され、学校に行っていようといまいと、働いていようといまいと、誰しもが「強み」をもっていると確信しています。自分がどう生きていきたいのか、それはその人生を生きる「自分自身の特長」が明らかになればあるほど描きやすくなるものです。自分がこの先どうして生きていけばよいか迷った時、外に目を向ける前に、まずは自分の内なる「強み」を整理することから始めてみませんか?きっと、そこから始まる「道」があります。一般社団法人SSBEでは、主にVIAについてオンラインスクールを開校しており、コンサルテーションとしてGALLUPモデルを活用しています。ご興味のある方はぜひお問い合わせください。